────Japan Association for East Asian Text Processing(JAET)────

△▼△▼△▼△     漢 字 文 献 情 報 処 理 研 究 会     △▼△▼△▼△
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========== 東洋学研究・教育の電子化と電脳漢字処理の最新情報 ==========

                      ■□     2015.10.1     □■
                      ■□      二一二号     □■

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┏━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┳━┓
┃漢┃字┃文┃献┃情┃報┃処┃理┃研┃究┃第┃16┃号┃★まもなく発売★
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■■■■□□□本会機関誌最新号が、まもなく発売されます!□□□■■■■

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┃目次┃
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■□特集1 自然言語処理の研究・教育への応用□■
・自然言語解析技術の発達が外国語教育にもたらすもの          山崎 直樹
・形態素解析の中国語教育への利用 CTAの構築とその概要       氷野 善寛
・中国語授業におけるCTA活用 脱・初級のための「多念」授業の試み
                                                            田邉  鉄
・RによるNGSMツールの開発と課題                             師  茂樹
・コラム KH Coderが中国語に対応                            師  茂樹

■□特集2 2015年版 文字コード・Unicode再入門□■          上地 宏一
・§1 文字コードとは何か
・§2 これまでの文字コード・符号化
・§3 Unicodeの登場と普及
・§4 Unicode多漢字環境の活用
・§5 大規模漢字フォント
・§6 まとめ
・コラム 大型漢字字典

■□特集3 文献撮影のためのスマホアプリ&ツール□■
・はじめに                                                  千田 大介
・Evernote Scannable                                        師  茂樹
・SnapLite                                                  田邉  鉄
・Office Lens                                               山田 崇仁
・SHOT DOCS                                                 小島 浩之
・CamScanner HD                                             田邉  鉄
・Scanbot                                                   師  茂樹
・XCANEX XC-1B                                              千田 大介
・ScanSnap SV600                                            千田 大介
・OpticBook 4800                                            千田 大介
・スキャン結果比較

■□特集 漢情研の歩み□■
・漢情研クロニクル                                          千田 大介
・エッセイ特集「私と漢情研」
  ・N-gram分析の誕生と広がり                                石井 公成
  ・『電脳国文学』創刊から15年                              瀬間 正之
  ・疾風怒濤の日々―中国語CALL格闘記                        小川 利康
  ・ヒューマニティーズ・ミーツ・ジュリスプリューデンス
        ~本当の学際的研究とは何か?~                      石岡 克俊
  ・漢字文献情報処理研究会の意義                            福田 博同
  ・ある懐古的回顧                                          伊藤 文生
  ・OSオタクの日々                                          二階堂善弘
・これからの漢情研                                        漢情研執行部

■□2015年度夏期公開シンポジウム 『電脳中国学入門』・『大学で学ぼ□■
■□う』・『人文学と著作権問題』の活用実践とその評価  報告   □■
・『電脳中国学入門』活用事例 中国古典学向け情報科目の教科書として
                                                            山田 崇仁
・理工学部初年次教育における『大学で学ぼう―知のスキルアップ15』
                                                            山下 一夫
・メディア系学生の著作権意識
        ゼミで『人文学と著作権問題』を読んでみたら          田邉  鉄
・『電脳中国学入門』・『大学で学ぼう』・『人文学と著作権問題』の
  活用実践とその評価 2015年度漢情研夏期シンポジウム参加記  小島 浩之

▼△▼レビュー&リソース紹介▼△▼
・Windows 10                                                千田 大介
・一太郎2015&ATOK2015                                      山田 崇仁
・Microsoft Office for iOS/Android                          田邉  鉄
・Unicodeの絵文字をめぐる近年の動向                         師  茂樹
・TPPと著作権                                               小島 浩之
・万方数拠新方志データベース                                佐藤 仁史
・NHK『声調確認くん』                                       田邉  鉄
・J-DAC                                                     小島 浩之

▼△▼書評▼△▼
・近藤みゆき著『王朝和歌研究の方法』                        師  茂樹
・小島浩之編『図書館資料としてのマイクロフィルム入門』      佐藤 仁史
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│   定価:2,000+税    │
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│ISBN978-4-87220-190-1 │
└───────────┘

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◆◇ JAET か ら の お 知 ら せ  ◇◆
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━気まぐれコラム━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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◆◇  『漢情研』と版下入稿  ◇◆
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                                                  千田大介@電脳瓦崗寨

■はじめに

先日、『漢字文献情報処理研究』第16号の版下入稿が完了した。漢情研の有料
会員制度終了にともない、年一度の定期刊行は今号が最後となるが、ここまで
16号にわたって、とにもかくにも雑誌を刊行し続けることができたのは、会員
諸賢のご支援の賜物であり、ここに改めて御礼申し上げたい。

さて、『漢情研』第16号の特集「漢情研の歩み」でも触れているが、版下入稿
による出版コストの削減、そして非会員にも売れる内容とデザインを実現でき
たことが、『漢情研』創刊の決め手であり、また途中で会誌講読権を持つ一般
会員制度を設けてテコ入れをする必要が生じたとはいえ、16号まで安定的に刊
行しえた所以であろう。

そこで本稿では、『漢情研』の編集を中心に、Windows DTPの今昔を振り返り
つつ、学術雑誌の刊行やWeb公開についていささか述べてみたい。

■学術雑誌と版下入稿、Web公開

学術雑誌を刊行する際、コストの半分以上はDTPを含む編集経費が占めている。
このため財政基盤が脆弱な学術同人誌の刊行では、必然的に版下入稿という方
法を採ることになる。

かかる学術同人誌の編集と刊行、電子版の公開をめぐる問題について、筆者は
『漢情研』第3号の「電子版学術雑誌をめぐる諸問題――『中国都市芸能研究』
創刊始末記」でいささか考察したことがあるが、それから10年経った現在でも、
基本的な状況に大きな変化は無いように見受けられる。

学術同人誌では、当時に比べてプリントアウトを版下にするケースが減り、
WordがPDF出力に標準対応したこともあり、PDFでの入稿が増えたように見受け
られるが、依然として紙媒体の学術雑誌刊行が一般的である。これは、国内の
研究者に手にとって読んでもらうためには、致し方ない側面もある。

一方、紙媒体で刊行したとしても学術誌をWeb公開することは可能なはずであ
る。学術雑誌のWeb公開は、全国学会では以前に比べて進展が見られる一方、
小回りが利くはずの同人研究会の方がむしろ進んでいないように思える。

筆者が『漢情研』および『中国都市芸能研究』という二つの学術誌に関わって
きた経験からいうと、学術誌こそ積極的にWeb公開すべきである。論文は、そ
もそもできるだけ多くの研究者に読んでもらってこそ意味を持つものだが、
Webに公開しGoogleで検索可能な状態になっていると、日本国内は言うに及ば
ず、海外の研究者にも読んで貰える可能性が高まるからである。筆者が参画す
る中国都市芸能研究会は国内では無名の小規模研究会だが、中華圏の伝統演劇
・芸能研究者の間では、研究誌全文(中文提要を含む)およびさまざまなテキ
ストデータの公開によって、高い知名度を得ているほどだ。

出版社との兼ね合いがあったとしても、『漢情研』のように、刊行後一定期間
後のWeb公開できるようにした方が良いだろう。

■『漢情研』とWindows DTP

閑話休題、『漢情研』を創刊する際に問題となったのがDTPソフトの選定であ
る。漢情研主要メンバーのスキルからすれば、Wordのテンプレートを共有し、
グループ文書機能で1文書にまとめて印刷することも可能であったが、しかし
ワープロソフトであるWordでは、画像を多用する文書の作成にかなりの手間が
かかってしまうので、DTPソフトの使用は欠かせなかった。『漢情研』が創刊
された2000年当時は、MAC+QuarkXPressが一般的なDTP環境であったが、
Windowsユーザーが主流の漢情研ゆえに、当初からWindows DTPが前提となった。

当時、比較的安価なWindows DTPソフトには「パーソナル編集長」などがあっ
たが、Unicodeに対応していなかったため候補から外したと記憶している。

Unicode対応のDTPソフトとしては、アーバンプレスがあった。割り注に対応す
るなど、日本語・中国古典の組版には向いていたが、しかしUnicodeの組版に
はCJK統合漢字を全て収録した日本語・簡体字・繁体字の専用フォント各1書体
しか使えないなど、制約も大きかった。バージョンアップで簡体字・繁体字フォ
ントなども自由に使えるようになることを期待していたのだが、残念ながら
2000年に販売終了してしまった。

この時点で、『漢情研』のDTPに使えるソフトは、Microsoft Publisherしか残
されていなかった。PublisherはMS Officeの中では日陰の存在だが、マスター
ページ・スタイル機能を使ったページもののDTPをこなすことができる上に、
Wordとほぼ同等の多言語処理機能を備えている。なにより、MS Officeの上位
パッケージに含まれており追加投資を必要としなかった。

『漢情研』創刊号と第2号は、Publisherを使ってDTPされている。フォントは、
ダイナコムウェアのUnicode対応明朝フォントを使っている。

もちろん、Publisherの文字詰めはWordと同等レベルで日本語組版に最適化さ
れていないことから、今見直してみると、版面はいささか乱れているように感
じられる。しかしこれは当時のQuarkXPressなどにも共通する問題であり、学
術誌として必要な水準はクリアできていたと思う。

Pulisherは、しかし、MS Officeの中でも使われることの少ないソフトである
ためか冷遇されている。マニュアル本も久しく発売されていないし、Pubisher
2007以降、縦書き、右→左のページものの組版ができなくなり、また文字の縦
横幅の設定もできなくなるなど、日本語組版関連機能に関してはむしろ退化し
てしまっているのは残念なことである。

■InDesignとDTPスキル

『漢情研』は第3号から、Adobe InDesignによるDTPに切り替わった。InDesign
は、WindowsとMACとで完全なファイル互換性があり、また高品質なOpenTypeフォ
ントが使用でき、しかもJIS組版ルールに準拠しているなど、革新的な日本語
DTPソフトであった。さらに、Unicodeに完全対応しており簡体字・繁体字フォ
ントも同梱される上に、CIDフォントによりさまざまな異体字を扱うこともで
きるなど、『漢情研』が必要とする多言語・多漢字方面のニーズに応える環境
であった。

こうなると問題になるのが、DTP担当者のInDesignスキルである。InDesignは
なかなかに奥が深いソフトであり、長大なページものを効率的に組むテクニッ
クや、スタイル設定のTipsなどが数多く存在している。それらは、マニュアル
を読むよりもむしろ、Webを検索したり人の作ったInDesignファイルを参照し
たりした方が、手っ取り早く学ぶことができるものである。

筆者も、さまざまな書籍・雑誌のDTPを通じた創意工夫、さらには漢情研出版
書籍のデザイン見本InDesignファイルの模倣などを通じて、スキルを磨いてき
た。その結果、InDesignそのものの進化もあいまって、『漢情研』の組版作業
も効率化が進んだ。例えば、当初、注釈参照番号は手作業で文字スタイルを指
定していたが、現在では正規表現書式機能で文字スタイルを自動設定している。
括弧のポイント下げなども同様だ。また、InDesign導入当初は、論考・レビュー
2ファイルに分けて組版していたが、現在では1記事1ファイルをブックにまと
めるようになっている。

見出しなどの書式も、Wordファイルの置換機能でスタイル指定でWikiテキスト
的書式に置換した上で、テキストファイルをInDesignに貼り込み置換で書式を
変更する方法で、一括して組むことができるよになった。長大な文書では、
Wordファイルやテキストファイルから直接InDesignテキストファイルを生成し、
一気に流し込む方が効率的なのだが、個々の記事がそれほど長くない『漢情研』
の編集では、そこまでやらなかった。

■若者よ、InDesignを学べ!

さて、漢情研は後継者不足もあって、有料会員制度を終了し『漢情研』の定期
刊行も中止するが、去りゆく老兵として一言、若手中国学研究者には是非とも
InDesignを修得しておいて欲しいと思う。

中国学研究者がなぜInDesignなどを、と思われるかも知れない。しかし、
InDesignを使いこなすことは、煎じ詰めればスタイル機能を使いこなすことに
他ならず、構造化文書の概念を理解することに通じる。そうすれば、電子テキ
ストへの理解も深まるだろうし、大学の初年次教育でWordのスタイル機能を教
えるようなこともできるようになるだろう。

さらに、研究室・研究会などで研究誌の編集業務を引き受けて、InDesignを駆
使して見事にこなしてみせて、パソコンや事務仕事の達人若手有望研究者であ
るとの評価を勝ち取れば、やがてアカデミックポストへと結びつくことだろう。
これは決して冗談ではない。人事というのは必ずしも研究能力のみで決まるも
のではなく、教育・事務処理などの能力や人柄などをトータルして、同僚に迎
え入れたいと思えるかが決め手になることが多いのだから。

InDesignは高価なソフトであるが、Adobe DCを機関契約する大学も増えている
ので、場合によっては無料で使うこともできよう。

我こそはと思う方には、是非ともInDesignを学び、新生『漢情研』の担い手と
して手を挙げていただきたいものである。

【このコラムは不定期掲載です。】

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┃                                編集・発行:漢字文献情報処理研究会┃
┃                                            本号編集担当:千田大介┃
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Last-modified: 2018-10-20 (土) 15:51:08