――――Japan Association for East Asian Text Processing(JAET)――――

△▼△▼△▼△     漢 字 文 献 情 報 処 理 研 究 会     △▼△▼△▼△
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========== 東洋学研究・教育の電子化と電脳漢字処理の最新情報 ==========

                        ■□    2007.5.1    □■
                        ■□   第一二四号   □■

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  漢情研Webサイト・BBSの関連情報をご参照下さい。
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■会員向け情報
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○【重要】登録情報の確認と会費納入状況の連絡について
    全JAET会員を対象に当会登録情報の確認と会費納入状況のご連絡を、近日
  中に郵送にて行います。これにより6月末の時点で、会員資格の確認を行
  います。ついては異動や引越しなどにより会員登録情報に変更が生じた会
  員の方は下記のフォーム(会員専用)より事務局までお知らせ願います。
    http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/change.html (会員専用)

  また会費未納の方は出来るだけ早くお振り込みください。
    振込口座は http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/  (会員専用)トップペー
    ジにてご確認ください。また、会員種別変更(一般・BBS)も随時受付中
    です。

○【重要】『漢字文献情報処理研究』第八号(JJ8)論文等投稿のお願い
  2007年度の機関誌JJ8への会員諸氏からの投稿を受け付けています。本会
  で扱いうる領域の論文の他、研究ノート、専門分野に特化した人文学情報
  処理関連マニュアル等の応募でも結構です。執筆ご希望の方は奮ってご応
  募ください。

   ・論文投稿:エントリー締め切り2007年5月31日
        詳細:http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/an/00800.html (会員専用)

○新入会員(2007.3.26〜2007.4.25)
    1名の方が新たにJAETに入会されました。

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■イベント情報
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○情報知識学会 人文・社会科学系部会研究会
  日時:2007年4月21日(土)15:00〜17:00(14:30受付開始)
    場所:東京国立博物館 平成館小講堂
     (台東区上野公園13-9。博物館「西門」から入館してください)
     ※交通と地図はこちら http://www.tnm.jp/jp/guide/index.html
    詳細:http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsik/bukai/jinbun.html

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◆◇ JAET-BBS ダ イ ジ ェ ス ト・2007.3.26〜4.25  ◇◆
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・漢情研会員はリンクをクリックするとJAET-BBSの当該発言を閲覧できます。
・BBS更新情報はRSSでも配信しています。http://www.jaet.gr.jp/index.xml

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■特設  <Windows Vista + Office 2007>
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○VistaとCygwinの相性
    GNUのツールをWindows上で動かすソフトCygwinはVistaに対応済か?
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=special4&mes=20

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■雑談  <電脳・社会・学界をめぐって>
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○上海學術書店再開
  メルマガ第106号でお伝えした業務停止をお伝えした上海學術書店が、営
  業を再開する模様。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac4&mes=6

○セカンドライフ
  ネット上の3D仮想世界として注目されているセカンドライフ。どなたか
  試したことのある方はいらっしゃいますか??
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac4&mes=8

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■電脳情報  <Webサイト・ソフトウエア etc.>
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○【サイト】古貨幣・古札画像データベース
    東京大学大学院経済学研究科所蔵の古貨幣、古札の画像データベースが公
  開された。現在は試行版だが今後順次公開数を増やしてゆく予定。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=530

  公開元URL: http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/shiryo/kahei.html

○【サイト】Digital Humanities Quarterly
    標記のオンライン雑誌が創刊。東洋学に関する論考も掲載されている。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=531
  
  公開元URL
  http://www.digitalhumanities.org/dhq/vol/001/1/index.html

○【IME】谷歌(Google)が中国語IME
    GoogleがWindows2000/XP/Vista用のピンイン入力式中国語IMEの提供を開
  始した。しかし直後に捜狗輸入法の辞書データベースを盗用していたこと
  が発覚!!
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=532

○【Webサービス】Googleマイマップ
    Google Mapの新サービス。人文系の地理情報共有ツールとして使用できる
  かも?
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=535

○【Webサービス】Googel ScholarにNIIの情報統合
    国立情報学研究所(NII)の論文データがGoogle Scholarから検索できる
  ようになった。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=536

○【電子文献】CBETA続蔵全文公開
  中華電子佛典協會(CBETA)が続蔵経の印度・中国撰述部を全て公開した。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=539

○【サイト】CycloneにCycMap追加
  老舗事典サイトのCycloneでCycMapが公開された。単語の関連性を可視化
  するもので興味深い。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=540

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■文字処理情報  <テキスト処理と文字コード>
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○読売新聞の「ユニバーサルデザイン文字」
  読売新聞が新聞界初となるユニバーサルデザイン文字なるものを開発し、
  2007年3月27日の商況面から紙面に使用しており、順次拡大を図るという。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=746

○JIS2004の「‖」の字形について
  VISTAの登場によりMicrosoft社から配布されたJIS2004では、ダブルスト
  ロークが直立から斜体字に??
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=748

○【フォント】DynaFont TrueType600 + 欧文3000
  JIS2004対応書体収録と銘打った標記のフォントパッケージが出たが、対
  応する書体フォントが少なく、実用的環境とは言い難いかも、、、。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=753

―気まぐれコラム―――――――――――――――――――――――――――

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◆◇ 八十年越しの夢 ◇◆
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 東京大学大学院経済学研究科所蔵「古貨幣・古札画像データベース」
             の公開によせて 

                               小島浩之

 東京大学大学院経済学研究科は多数の古貨幣、古札を所蔵している。この度
平成18年度の科学研究費補助金(研究成果公開促進費)を得てその一部を画像
データベースとして公開することができた。

 古貨幣・古札 画像データベース【試行版】
 http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/shiryo/kahei.html

 本コレクション受入の経緯やその学術的価値については別稿(以下拙稿)
( http://www.lib.e.u-tokyo.ac.jp/shiryo/kaidai.pdf )
にて論じているので、本稿ではデータベースとして公開するまでの歴史的経緯
を中心に論じ、この度の公開の意義について述べようと思う。
 
 古貨幣は実業家であった藤井榮三郎氏の旧蔵品であり、昭和2年に本研究科
に寄贈された。拙稿で述べたように学究肌であった藤井氏はコレクションの学
術的な利用を望んでいた。寄贈コレクションの原拓本本『寶貨録』には「この
コレクションの利用によって、未だ発表されていないような論文が書かれれば、
大学当局は銭貨学の講座を置くこともあるだろう。」という趣旨の言葉まで述
べている。これに対し寄贈時の担当者であった経済学部教授山崎覺次郎は「寄
贈の趣旨に辜負しないやうに、十分コレクションを利用して研究に従事するこ
とが、我々の責務である。而して此利用は単に経済の方面に限るものでなく、
歴史、地理、技術等の研究にも貴重な資料を供することと思ふ。」(山崎1928)
と応えている。これについては日本銀行で永らく貨幣整理に携わった郡司勇夫
も「山崎先生としては、大いに宣伝されて、大いに利用してもらいたいという
ことをつねに考えておられた」(土屋ほか1955)と述べている。ここからは山
崎教授が寄贈者の意思に沿うよう心がけていたことが伺えるのである。また古
札は安田財閥の二代目で書誌学にも造詣の深かった二代目安田善次郎の寄贈で
ある。この寄贈も「経済学攻究資料」として後の日本銀行総裁である結城豊太
郎の斡旋により成立したものであった。
 このように寄贈者は学術的利用を望み、引き受けた山崎教授もそれに応えよ
うとし、これらのコレクションについて順次整理が行われていったのである。
 
 戦後になるとこれらのコレクションについて、寄贈当時の実情を知る方々を
交えて座談会が開催された。この座談会の目的は「コレクションの保存および
利用方法の改善をはかる」ため、来歴や重要性をはっきりさせることにあった。
この座談会は活字として記録に残され、これによって来歴や重要性が今日まで
伝えられてきた。昭和30年代にあって情報を記録し保存しようとした発想その
もの自体素晴らしいことであり、敬意を表すべきことだろう。しかし公開や
利用ということになると、問題点の指摘はあっても結論らしきものは出なかっ
た。当時の実情からすれば、貴重であるということと実物を利用・公開させた
いというジレンマを乗り越えることはできなかったのである。この座談会から
大学紛争に至るまでの状況は石井寛治氏が次のようにまとめている。
  だが、上記座談会でも指摘されているように、せっかく大事に保存されて
  きた古貨幣であるが、研究者による利用という点では、あまり寄贈者の期
  待にこたえたとは言い難かった。それ故、『紛争』直後には、こういう厄
  介なお荷物を保管するのは考えものだという議論する出てきた(石井1981)
 大学紛争時に本研究科は、某銀行に寄託することでこれを守り通したが、
紛争終了後に戻ったコレクションは保管状況が悪く無惨な姿であったという。
このように本研究科のコレクションは昭和30年代までに整理され公開方法の模
索までたどり着いた。しかし当時の実情や大学紛争といった時代の煽りを受け、
利用・公開への道は閉ざされてしまったのである。

 昭和51年9月4日、毎日新聞は朝刊で「大判、小判、ミイラなど・・・『宝の
もちぐされ』東大」として、本研究科のコレクションなどが公開されないまま
になっている現状を批判する記事を掲載した。同紙の川柳のコーナーには「東
大に大判、小判の山。カネではない資料だ、というが、握ったら放さぬは、同
じ。」と痛烈な皮肉のオマケまでついている。この記事が大学紛争以降、閉ざ
されていた利用・公開の問題を再び考える上での起爆剤となったかどうかは定
かではない。しかし昭和54年から57年にかけて整理と詳細目録の作成が行われ、
再度の利用・公開が模索されることになる。この時の整理には前述の郡司氏を
招聘し4万点に及ぶ古貨幣・古札について、詳細な目録カードの作成と写真撮
影が行われた。これによって研究者が閲覧するための基礎的な情報が整備され
たのである。以後、平成10年までの間に保管設備の更新、図録および冊子目録
の作成が行われた。しかし、展示スペースが設けられているわけでもなく、ま
たセキュリティーの問題もあって、大々的な利用がなされた訳ではなかった。
このため近年は再び「知る人ぞ知るコレクション」となり、学内でもその存在
を知らない教職員が増えつつあった。

 そこで学術的な利用を促すため考えられたのが、データベース化して画像公
開することであった。実物そのもののを一般公開する難しさは、現在も昭和30
年代もそう大差ないだろう。これに対してインターネットによるバーチャルな
公開は昭和30年代では考えられなかったことである。つまりこのデータベース
は、前世紀にはなし得なかったコレクションの利用・公開が、今世紀に入り新
たな活路を見出した好例だと位置づけることができるのである。所蔵資料をデ
ータベース化してWeb公開することは、現在では普通のことであり何ら目新し
いことではない。近年では様々な工夫が凝らされたデータベースが数多く公開
されている。それに比べれば本データベースは技術的にごくありふれたもので
ある。それでもここに一文を草したのは、東京大学経済学部が八十年の歳月を
かけて試行錯誤した末の成果であり、寄贈者や先人のたゆまぬ努力の結果とし
て存在するものだと書き留めておく必要を感じたからである。


<引用文献>
石井1981 石井寛治「経済学部所蔵古貨幣の目録について」(『経友』91,
1981.9)
土屋ほか1955 「經濟學部所藏古貨幣コレクションに關する座談會記録」(
『経済学論集』23-2, 1955.2)
山崎1928 山崎覺次郎「藤井榮三郎氏の寄贈された東洋錢貨のコレクションに
就いて」(『経友』10,1928.1)

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Last-modified: 2018-10-20 (土) 15:51:08