――――Japan Association for East Asian Text Processing(JAET)――――

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========== 東洋学研究・教育の電子化と電脳漢字処理の最新情報 ==========

                        ■□    2007.1.1  □■
                        ■□   第一二〇号   □■

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■メールマガジンの発行回数変更について(重要)
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平素は漢字文献情報処理研究会のメールマガジンをご愛読頂きましてありがと
うございます。

先に開催されました2006年度総会におきまして、本メールマガジンの発行回数
を従来の月2回から月1回へと変更する旨が提案され、了承されました。理由は、
以前と比べてBBSの更新頻度が減ったこと、JAET-BBS RSSフィードの配信を開始
したことによりメールマガジンの役割が一部そちらに移ったことなどです。

発行回数を減らす分、コラムをより多く掲載するなど、内容の充実をはかりた
いと考えています。変更の趣旨をご理解の上、今後もご愛読頂ければ幸いです。

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  漢情研Webサイト・BBSの関連情報をご参照下さい。
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■会員向け情報
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○【重要】総会報告公開
  先日行われました総会の報告を、以下のページに掲載しております。ご確
  認下さい。
  http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/2006.html (会員専用)

○【重要】会費納入のお願い
  会費未納の方は、出来るだけ早くお振り込みください。
  振込口座は http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/ (会員専用)トップページ
  にてご確認ください。また、会員種別変更(一般・BBS)も随時受付中です。
 ※一般会員で2006年度会費が未納の方には、『漢字文献情報処理研究』第7号
  が発送されません。早急にお振り込みください。

○【重要】会員登録情報変更のお願い
  異動や引越しなどにより会員登録情報に変更が生じた会員の方は下記の
  フォーム(会員専用)より事務局までお知らせ願います。
  http://www.jaet.gr.jp/JAET-BBS/change.html

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◆◇ JAET-BBS ダ イ ジ ェ ス ト・2006.12.11〜2006.12.25 ◇◆
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・漢情研会員はリンクをクリックするとJAET-BBSの当該発言を閲覧できます。
・BBS更新情報はRSSでも配信しています。http://www.jaet.gr.jp/index.xml

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■雑談  <電脳・社会・学界をめぐって>
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○【OS】中国産OS「銀河麒麟」
  中国産にこだわる中国が、解放軍用の独自OSを開発した模様。カーネルが
  独自開発で、ユーザランドがFreeBSDベースとの由。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=966

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■電脳情報  <Webサイト・ソフトウエア etc.>
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○【イベント】日本中国語CAI研究会第11回大会の報告要旨
  「LMSにおける学生とTA」「音声掲示板システムによる遠隔発音指導の試
  み」「イマドキ大学生のITリテラシーと高校「情報」授業の実態」の要旨。
  http://moli.cims.hokudai.ac.jp/~ccai/11th_CAI.pdf
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=489

○【デジタルアーカイブ】韓国の重要典籍文化財原文データベース化構築事業
  重要典籍文化財原文データベース[1]完成の報せ。木簡データベース[2]と
  あわせ、韓国のデジタル化事業はすごい勢い。それに比べて我が国は…。
  [1] http://www.memorykorea.go.kr/
  [2] http://www.haman-sungsan.go.kr/database/josan-sanjo/
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=490

○【ソフト】一太郎2007&ATOK2007
  来年2月に発売とのニュース。多言語処理関係は残念ながらあまり進展が
  見られない模様。JIS X 0213:2004における字体の変更に関しては配慮が。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=493

○【ソフト】蒙恬mini掃訳筆II
  なかなか使えそうなペン型スキャナ+OCRでNT$3,800也。千田大介氏のブ
  ログ(http://www.wagang.jp/blog/logdata/eid105.html)参照。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info3&mes=494

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■文字処理情報  <テキスト処理と文字コード>
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○【フォント】Vistaの日本語フォントについて
  Windows Vistaに搭載される日本語フォントについてのMicrosoft社の方
  針が、11月に若干変更された模様。『漢字文献情報処理研究』第7号掲載
  の情報は、5月時点のものなので注意されたい。
  http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=734
  <参考>
  「JIS X 0213:2004 対応と新日本語フォント「メイリオ」について」
  http://www.microsoft.com/japan/windowsvista/jp_font/default.mspx
  安岡孝一「Vistaで化ける字,化けない字」
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061211/256519/
  安岡孝一「Vistaで化ける字,化けない字(続報)」
  http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20061221/257533/

―気まぐれコラム―――――――――――――――――――――――――――
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◆◇ 漢字は東アジアの共通語? ◇◆
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                                                              師 茂樹

■謹賀新年

あけましておめでとうございます。今年もご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願
い申し上げます。

と挨拶がすんだところで、コラムである。今年は亥年であるが、よく知られて
いるように十二支は古代中国で考え出され、漢字文化の広がりとともに東アジ
ア全域に広がったものである。現在、東アジアにはいろいろな問題があり、対
立が深まってきていることは間違いないが、それでも同じアジアの、同じ漢字
文化圏の国々であるという安心感みたいなものが一方ではある。

本コラムでは、現在も増え続けている漢字コードの広がりを素描することで、
この「安心感」に若干の異を唱えてみようかと思う。新年にふさわしくないか
もしれないが、しばしおつきあい願いたい。

■漢字コードにおける東アジアの「統合」

もっとも古い漢字コードは、1978年に制定されたJIS C 6226、現在のJIS X
0208である。ここには約6,000字の漢字が収録され、パソコン(当時は「パソ
コン」なんて言葉はなかったと思うが)などを使って漢字混じりの文書を書く
ことができるようになるとっかかりとなった。後にJIS C 6226を模範として韓
国、中国、台湾などで文字コードが制定され、コンピュータにおける漢字処理
が一気に花開くことになる。

しかしながら、国別に文字コードが制定されたことによって、今でもなくなら
ない所謂“文字化け”が発生し、インターネットの普及につれて大きな問題と
なった。また経済のグローバル化が進むと、ソフトウェア開発においても各国
語版を開発しなければならなくなってきたが、各国の文字コードごとにプログ
ラムを書かなければならないことがコストをひきあげる原因のひとつとなり、
大きな足かせと感じられるようになった。これらの問題は、東アジアに限った
話ではないが、漢字コードがアルファベット系のコードよりも深刻な問題を引
き起こしたのは間違いないだろう。

そこで登場したのがUnicodeである。Unicodeは(通俗的に言えば)その名の通
り、各国の文字コードをひとつにまとめようという思想のもとにできたコード
である。現在、Unicodeで定義されている漢字は約7万字である。

・CJK統合漢字(70,217字)
・CJK互換漢字(1,009字)
・CJK部首(115字)
・CJK筆画(16字)

「CJK統合漢字」という名称からもわかるように、中国、日本、韓国などの漢
字が、主に字形を基準にして統合されている。このような方針はかつて、国民
国家と言語とを同一視しがちな日本国内で特に大きな反発を招いたが、やがて
沈静化した。

Unicodeの規格書は地域ごとに章立てがされ、章ごとに文字をアレンジした扉
のページがデザインされているのであるが、その中の東アジアの文字に関する
章の扉には「大同小異」と書かれている。EUを模範とし、1997年のアジア通貨
危機を発端に議論が活発化してきたアジアの統一通貨や東アジア共同体の議論
と重なる部分が大きいような気がするのは、私だけだろうか。

■再びローカルな世界へ

ところで、この7万余字の大部分を占めるのが、最初に発表された20,902字と、
2001年に発表されたCJK Extension Bの42,711字である。後者については、漢
情研から発行されているもの(ウェブページ、BBS、メルマガ、雑誌など)や
その他の媒体を通して目にしている読者も多いであろう。Extension Bのコー
ド表に並んだ山のような「見たことがない漢字」に、発表された当初から現在
に至るまで「こんな漢字、誰が使うんだ」という声が後を絶たない。

2005年にも22字がこっそり(?)追加されたが(『漢字文献情報処理研究』第
6号参照)、現在ではExtension CとDとが審議されている。これらはExtension
Bほどではないにせよ、それなりにまとまった量の追加となることが予想され
る。いずれの場合も、各国のローカルな要求がほとんどだ。例えば現在、マカ
オから提案されている漢字の追加は、Macao Information System Character
Set(澳門資訊系統字集)で使われている外字である。

要するに、CJK「統合」漢字という形で東アジア各国が漢字によって統一され
たような気分がもたらされたが、その後の展開は明らかに各国の漢字事情がバ
ラバラであるということを白日の下にさらす作業の積み重ねであった…と言っ
てしまうと言い過ぎだろうか。「大同小異」が「小同大異」に逆転し、しかも
その差はどんどん大きくなっているのである。

■「漢字文化圏」を超えて

それでもUnicodeという場にのりさえすればそれでよい。Unicodeという基盤さ
え共有していれば、各国の向いている方向がばらばらであってもかまわない。
Unicodeに収録されさえすれば、グローバル経済に参加する最低限が保証され
る……。Unicodeという大きな乗り物は、他者の存在を忘却させると同時に、
現実世界の差別、差異をむしろ強化するのに加担しているではないかとさえ思
われてくる。

これは漢字であっても同様だ。「漢字文化圏」という用語は、国民国家を前提
としたローカルで蛸壺な議論を相対化するための“概念”としては、それなり
に有効なのだろう。しかし、冒頭に述べた十二支のような共通の文化の存在が、
この概念を非常に実体的なものとして捉えさせている。そして、私たちが他者
である隣国への配慮をしない言い訳にこの概念を使っているかもしれない、と
いう危惧が頭をもたげる。

たかが技術、されど技術。漢字コードを含めた様々な技術が世界の捉え方を規
定していることにもう一度思いをはせ、批判的な精神を涵養するとともに、支
配的な技術を相対化するためのオルタナティブを自ら考え出す必要があるよう
に思われる。漢情研がそのような場になればよいなぁと思う。

【このコラムは不定期掲載です。】

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Last-modified: 2018-10-20 (土) 15:51:08