――――Japan Association for East Asian Text Processing(JAET)――――

△▼△▼△▼△     漢 字 文 献 情 報 処 理 研 究 会     △▼△▼△▼△
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―――――――――――― http://www.jaet.gr.jp/ ―――――――――――

========== 東洋学研究・教育の電子化と電脳漢字処理の最新情報 ==========

                        ■□   2004.3.15   □■
                        ■□   第五十三号  □■

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─以下引用・転載可──────────────────────────

○「漢情研 2004年春期公開講座」を開催します。

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        ┃デ┃ジ┃タ┃ル┃ア┃ー┃カ┃イ┃ブ┃と┃東┃洋┃学┃
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                        〜真の活用を目指して〜

   ◆日時:2004年3月20日(土)13時30分より
   ◆会場:花園大学 自適館202教室
    ・アクセス http://www.hanazono.ac.jp/access/map1.html
    ・マップ http://www.hanazono.ac.jp/annai/equipment/
   ◆講師:陳弱水(東京大学教授・台湾中央研究院研究員)
   ◆内容:13:30〜15:30  講演(中国語・通訳つき)
           16:00〜17:00  質疑応答
   ◆入場無料 ただし非会員の方には資料代として500円申し受けます。
   ◆要申し込み(http://www.jaet.gr.jp/meeting-form.html)

   ※ 近年、日本でもデジタルアーカイブが国家戦略として位置づけられてい
      ますが、先駆的な業績をあげてきた台湾中央研究院の漢籍電子文献が、
      どのような政治力学や学術的パースペクティブのもとに立ち上げられた
      のか、陳弱水氏に講演していただきます。
   ※ 参考「中央研究院歴史語言研究所漢籍全文自動化計画の発展、現状、未
      来」(『漢字文献情報処理研究』第2号、PDFが公開されています:
      http://www.jaet.gr.jp/jj/2.html)
   ※ 講演会終了後、懇親会を開催します。
      18:00より花園会館 花ごころにて。会費:6000円、院生:4000円。
   ※ 詳細は、以下のWebページをご参照ください。
                              http://www.jaet.gr.jp/meeting.html#2004s
─────────────────────ここまで引用・転載可────

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・バックナンバーの閲覧・検索は、http://jaet.gr.jp/mag/ でどうぞ。
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◆◇ JAET か ら の お 知 ら せ  ◇◆
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■イベント情報
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○中国語CAI研究会2004年3月例会

  日時:2004年3月18日(木)午後2〜5時
  場所:帝塚山大学東生駒キャンパス
        7号館(図書館の北隣の建物)2階201教室。
  テーマ:中国語教師に役立つ各種ツール
  企画:[1] Googleでより高度な検索をする…山崎直樹/大阪外大
        [2] ソフトウェア紹介:《百歩穿楊II》…JCIC(日中産業通信)
        [3] ソフトウェア紹介:Chinese Writer7…高電社
        [4] その他(CNKI, CD-ROM版漢語大詞典2版などのデモ,展示)
            …東方書店
  問い合わせ先:山崎直樹(大阪外大)ymzknk@osaka-gaidai.ac.jp
  参照(漢情研会員のみ):
            http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=786

◯第15回研究セミナー 東洋学へのコンピュータ利用
  (京都大学学術情報メディアセンター第76回研究セミナーと併催)

  日時:2004年3月26日(金)10:30〜16:55
  場所:京都大学学術情報メディアセンター北館3F講習室
  主催:京都大学人文科学研究所附属漢字情報研究センター
       京都大学学術情報メディアセンター
  問い合わせ:diccs@kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp

  聴講無料
  http://kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/seminars/oricom/2004.html

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◆◇ JAET-BBS ダ イ ジ ェ ス ト・2004.2.26〜2004.3.10  ◇◆
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・漢情研会員はリンクをクリックするとJAET-BBSの当該発言を閲覧できます。

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■雑談  <電脳・社会・学界をめぐって>
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◯【雑談】Windows XPリローデッド
    次期Windowsのリリースが遅れているため、暫定的にリリース?。次は
    {レボリューションズ」かも。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=389

○【雑談】『東方』277号の座談会
    『東方中国語辞典』の組版をめぐる座談会「多言語組版の究極を目ざして」
    がおもしろい。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=390

○祝クリエイティブ・コモンズ日本語版公開
    データやソフトウェアなどの自由化、共有化を志向したライセンスが、日
    本の法律に準拠する形で公開。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=391

○【雑談】横浜中華街に媽祖廟
    マンションの敷地を買い取ってそこに媽祖廟を建立するとのニュース。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=393

○画像に著作権情報
    画像に著作権情報を埋め込む新技術についてのニュース。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac3&mes=395

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■電脳情報  <Webサイト・ソフトウエア etc.>
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○【電子テキスト】道教研究所
    早稲田大学・小林正美研究室によるプロジェクト「道教研究所」が、六朝
    の儀礼に関する道教文献の電子テキストを公開中。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=777

○ソニーの電子辞書
    ソニーの新しい電子辞書は、メモリースティックで各種辞書類が追加可能
    だが、残念ながら中国語辞書はない模様
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=780

○OpenOffice.orgで76言語?
    Microsoft Officeとの互換が売りのOpenOffice.orgでは、ローカライズ・
    プロジェクトが急速に進んでいるというニュース。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=784

○【イベント】TRON多文字セミナー
    「日本語・漢字文化に適したトロン多文字応用」についてのイベントの案
    内。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=info2&mes=785

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■文字処理情報  <テキスト処理と文字コード>
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◯言選Web中文版
    東京大学で開発されているWebページなどからキーワードを抽出するシス
    テムの簡体字中国語版が公開(http://gensen.dl.itc.u-tokyo.ac.jp)。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=584

―気まぐれコラム―――――――――――――――――――――――――――

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◆◇幻想としての“再利用”◇◆
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                                                              師 茂樹
                                         http://ya.sakura.ne.jp/〜moro/

■デジタルなんだから

日本の古典研究においても、データベースやらデジタルアーカイブやらと言っ
た電子化プロジェクトが一般に認知されるようになってきた。と言っても、中
国、台湾、韓国などの急進ぶりに比べればおとなしい限りであるが、一時の
「迫害」――コンピュータを使うと勉強しなくなる!百害あって一利なし!云
々――を経験したものとすれば、最近は人目をはばからずコンピュータのこと
が口にできる雰囲気の良さである。

しかし逆に困ったことも起きている。雨後の筍とまではいかないものの、最近
やたら目立ってきた人文学+コンピュータがらみの様々なプロジェクトに首を
つっこんでいると、よくこんな発言を耳にするようになったのである。

・デジタルデータは加工が簡単なんだから、とりあえず入力してしまって、文
  字コードとかフォーマットのことは後で詰めましょう。
・後から足すのは簡単なんだから、とりあえずこれとこれだけ入力しておきま
  しょう。
・学術目的で作ったものも、積極的に学生や一般向けに公開すべきだ。どんな
  に公開したって、データベースは減らないんだから。

よく言われる、デジタルデータの「再利用のしやすさ」というやつである。こ
れとは逆に「すぐに加工できてしまうものは信頼できない」「せっかく作った
ものを盗まれたらどうするんだ」というようなネガティブな反応もある。いず
れにせよこういうことを言うのは、たいてい好奇心旺盛かつ頭の回転が速い人
で、その他大勢が二の足を踏んでいる最中に真っ先にコンピュータの長所(人
によっては短所)を認識してしまう人である。

■いつか来た道

この発想は、思えば苦い思い出でもある。電子データが出回るようになったご
く初期の頃、あるいはXMLが登場する前夜など、まさにこれと同じようなこと
が吹聴され、興奮とともに迎えられていた。そしてその後、いくつかのプロジェ
クトを経る中で、これが幻想だと気づく。

デジタルデータは確かに扱いが簡単だ。加工も、巻物を折り本にするのに比べ
たら、とても楽だろう。しかし、手作業でやろうとすると、かなりの手間がか
かることもまた事実だ。結局のところ、加工の容易さ、再利用のしやすさとい
うのは、自動処理の容易さを想定して、あらかじめきちんと設計することによっ
て始めて得られる。文字コードもフォーマットも何もかもそうだ。そのために
はあらかじめ、どのような用途がありうるか、どのような作業工程がありうる
かなどを、綿密に検討しなくてはならない。つまり、再利用の容易さは設計の
段階で決まるのだ。途中で何とかなるものではない。

こんなことはソフトウェア工学の世界では当たり前のことである、と知ったの
は、幻想だと気づいてからしばらくたってからのことである。七〇年代に書か
れたこの業界の古典的箴言集?で、フレデリック・P・ブルックス『人月の神
話 狼人間を撃つ銀の球はない』(ピアソンエデュケーション)という本があ
るが、その中で「プロジェクトの途中で人を増やしたら、余計にそのプロジェ
クトは遅れる」という一文を見つけたとき、まさに同じような現場にいる己を
振り返り、思わず涙したものである。

■工学的発想を

今後、順調に行けば人文学の学部・学科においてコンピュータ利用に関する授
業も増えるだろう。その中で、検索の仕方とか文字コードのことなど、利用す
る側の視点では教えられても、プロジェクトチームを組み、データベースを設
計し、それを評価し、長期間保守するというような工学的な授業はなされるだ
ろうか(評価といえば、数あるデータベースの中で、「どれくらい人文学研究
に役立つか」という視点で評価されているものを見たことがないような気もす
る)。

これからますます、この手のプロジェクトは増えるだろう。そして、派手なウェ
ブページの陰で、プロジェクトを率いる人間に工学的な発想がないために、膨
大な再加工をさせられているアルバイト君たちも増えていくのではないかと危
惧してしまう。もちろん、これまで工学と人文学がずいぶんと離れたところに
いたことは間違いない。しかし、持たなくてもいい幻想で、しなくてもいい作
業を増やす必要はないはずである。工学の本を、少しぐらい勉強してみてもい
いのではないだろうか、と自戒しつつ本棚に寝かせっぱなしの今日この頃であ
る。

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┃                                            本号編集担当:師 茂樹┃
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Last-modified: 2018-10-20 (土) 15:51:08