――――Japan Association for East Asian Text Processing(JAET)――――

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========== 東洋学研究・教育の電子化と電脳漢字処理の最新情報 ==========

                         ■□  2002.4.1  □■
                         ■□   第六号   □■


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◆◇ JAET か ら の お 知 ら せ ◇◆
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■会員向け情報
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○会費納入のお願い
    2001年度・2002年度会費が未納の方は、出来るだけ早くお振り込みくだ
    さい。振り込み口座はhttp://jaet.gr.jp/JAET-BBS/(会員専用)にてご
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◆◇ JAET-BBS ダ イ ジ ェ ス ト・2002.3.11〜3.25 ◇◆
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■雑談 <電脳・社会・学界をめぐって>
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○中国メールをIP制限
    欧米の主要プロバイダが、中国の新浪、網易、搜狐、163などのメアドを、
    スパムが多いとの理由でIP制限。
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○"CJKV Information Processing"の訳書、発行は暫く先
    "CJKV Information Processing"の翻訳がほぼ完了。ただし出版時期は未定。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=ac2&mes=489&area=1-1000

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■電脳情報 <Webサイト・ソフトウエア etc.>
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○gooで多言語翻訳実験
    NTTがgooで多言語翻訳を実験中。当初は日英・英日・日韓・韓日間翻訳のみで、
    以後日中・中日も追加予定。7月31日まで。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=web2&mes=614&area=1-1000

○北京で北朝鮮ソフト展覧会
    北朝鮮が4月20日から22日まで、北京で初のコンピューターソフトの展覧会を
    開催。文字処理ソフトや検索ソフト、音声識別ソフトなどを展示。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=web2&mes=616&area=1-1000

○超漢字4 トンパ文字パック発売
    パーソナルメディアが3月15日、「超漢字4トンパ文字パック」を発売。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=web2&mes=618&area=1-1000

○Chinese Writer V6発売
    高電社がChinese Writer V6を発売。読み上げや翻訳機能などが追加される。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=web2&mes=621&area=1-1000

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■文字処理情報 <テキスト処理と文字コード>
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○論語と老子のちがいについて
    『論語』と『老子』について共通N-gramの出現頻度を比較。興味深い結果に。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=242&area=1-1000

○N-gram活用は今後北京の方が盛んに?
    北京の仏教学研究者のコンピュータ活用状況についてレポート。一方日本の現
    状は・・・。
    http://jaet.gr.jp/JAET-BBS/contents.cgi?room=code2&mes=245&area=1-1000

○統計ソフトS-PLUSとR
    統計やデータ解析のためのソフトウェア二種。
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○Excelデータで顔グラフ
    Excelのデータから顔グラフを作成するツール「データマイン君」。
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―気まぐれコラム―――――――――――――――――――――――――――
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◆◇ 消しゴムの使えない教室 ◇◆
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                                                        平林宣和

数年前から消しゴムの使えない教室で授業をしている。この教室には土足で入っ
てはいけないし、もちろん飲食などもってのほか。窓を開けることもどうやら
快く思われていないらしい。ひょっとしたら学生にもあまり入ってきてほしく
ないんじゃないか。ホコリの嫌いなコンピュータは、このように思わせるほど
教室ではずいぶんと丁重に扱われる。

ホコリだけではない。ドライブやキーボードを盗むやつがいるので、休み時間
中はしっかり施錠される。学生達は教師が来て鍵を開けてくれるまで、暗い廊
下で待たなければならない。しかも太陽光線を避けて日の当たらない場所に作
られているので、教室の中もやっぱり薄暗い。内装は総防音壁、声が反響せず、
中にいると何だか陰鬱な気持ちになる。

もちろんこの部屋はとても便利である。コンピュータは学生一人一人にあてが
われ、ホームページも見られるし、CD-ROMも使える。教卓ではMOからCD、MD、
LD、DVDまで、皿回しのようにありとあらゆるメディアを駆使できる。大きな
ビデオプロジェクターのおかげで、暗幕を閉めればミニシアターにだって変身
可能だ。それでもやはりこの教室、どう考えても人間向きには作られていない
な、と思ってしまうのである。

このしっくりこない感覚を、あれこれたくさんの実例を挙げて述べ立ててくれ
たのが、かのクリフォード・ストール氏である。昨年翻訳された『コンピュー
タが子供たちをダメにする』(草思社)は、やっぱりなんだか変だぞ、という
実例に満ちあふれている。もちろん彼はコンピュータ大好き人間を自認してい
るし、インターネットを創生期から使っている研究者でもある。この本もコン
ピュータそのものをやり玉に挙げているわけではない。ユーモアを交えつつ批
判しているのは、コンピュータというテクノロジーをめぐる神話である。

新しいテクノロジー、特にコミュニケーションに関わる新技術が現れると、人
間、というか主に近代人は、それに連れて社会も理想的かつ劇的に変化すると
考えたがる。『ダメにする』によれば、今から一世紀以上前の1890年頃、市民
が直接大統領と話すことを可能にする電話は、民主主義を実現する優れたツー
ルだ、とまことしやかに語られていたらしい。ちょうど百年後の1990年代に、
我々は電子メールについて確か同じようなことを言っていたはずだが、携帯メー
ルが爆発的に普及した現在でも、世の中それほどすばらしく変わったようには
思えない。

教育や学習は、人間が行うコミュニケーション活動のなかでも、最も大切なも
のの一つだ。だからほとんど当然のように、コンピュータによって劇的に変わ
るべきものの仲間に加えられた。それも最近の話ではなく、コンピュータの登
場とほぼ同じ頃からである。でも今のところ我々の目の前に現れたのは、コン
ピュータによって誰もが次々に賢くなっていく電脳シャングリラではなく、そ
れなりに便利だけどやっぱりどこか奇妙な、消しゴムの使えない教室だけであ
る。

ではコンピュータと教育、学習との関係は、それほど「ダメ」なものなんだろ
うか。そもそもコンピュータというのはシンボル操作の道具である。そして形
式的に定められたこと以外、自分からは特に何もしない。この勘所を押さえて、
妙な神話に惑わされなければ、それほど絶望することもないと思う。形式的に
定める、ということは、すなわち何らかの言語によってもれなく記述する、と
いうことだ。教育や学習というなんとも複雑なプロセスを、全て言語で記述で
きるとはとうてい思えないが、それでもこれまでいろいろな人がそれに挑戦し
てきた。

子供というのは白紙状態にある生き物だから、檻の中に閉じこめて、ご褒美を
あげつつどんどん知識を詰め込めばよい、と考えた人がいる。一方で、子供は
自らいろいろなものを学んでいく種のようなものを持っている、周りの人間は
その自然な成長を助ける環境さえ用意すればいい、と言った人もいる。これら
の発想が正しいかどうかは、それこそ場合によりけりだ。いずれも教育とか学
習の全ての局面を覆うものではない。

しかし少なくともこの二つの考え方は、これまでほぼそのままの形でコンピュー
タに移し換えられている。そしてまさにその移し換えのために、これらの発想
はとことん厳密に記述されなければならなかった。とんでもない無駄もあった
かも知れないが、ともかくもその輪郭がはっきりしたことで、我々の教育や学
習に関する考え方は、それなりの深まりを見せてきたのである。

教育、学習とコンピュータとの関係について考えることは、実はそのまま教育
や学習について思考することに等しい。そうした思考に我々を誘うという、な
かなか楽しい効用を、この分野は持っている。コンピュータ教育のシャングリ
ラは今のところ出現しそうにないから、我々教員の失業問題については当面考
えずにすむだろう。コンピュータにできないことが何なのか、さらにはっきり
わかれば、そこは人間が堂々とやればいいだけの話だ。その間の線引きについ
て考えるのは、悪いことじゃない。

消しゴムの使えない教室で、私はずっと学生に消しゴムを使わせていた。そん
な馬鹿な規則のあることに、いままで気がつかなかったからである。でも、こ
の奇妙な決まりのおかげで、消しゴムとコンピュータと教室の関係について、
ちょっとばかり考えることができた。その点で今この教室には、少し感謝をし
ている。

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Last-modified: 2018-10-20 (土) 15:51:08